ひきこもり状態にある方のご家族のためのセミナー「寺子屋ふぁみりあ」

  • ニュース
  • 寺子屋ふぁみりあについて
  • セミナー報告
  • リンク

セミナー報告

2010年11月

発達障害とひきこもり 発達障害がある人の社会における生きにくさから支援を考える (1)

東京都発達障害者支援センター主任支援員
石橋悦子

 私は「発達障害者支援センター」の立場で、発達障害がある本人やそのご家族、支援機関など関係者の方々と日々関わる仕事をしています。
  本センターにおける事例の中にはひきこもりの状態にある方が少なくありません。5年、10年と長期化している事例もあります。相談に来所した人たちの話をきくと、それぞれの人の生活実態は実に多様であり、障害名による一般的な理解やマニュアル化したような支援法ではとても対応できるものではないと感じています。
  支援者の立ち位置として求められることは、むしろ、長年の生活歴も含めその人ごとの生活実態を幅広くとらえることです。障害のない多数派の人たちを基準に作られた社会の中で、この人たちの生きにくさの内容を個別的、具体的にとらえ、本人たちにとってより良い方向に進めていくためには何ができるのかを現実的に考えていくことが必要であると思っています。

◆発達障害者支援センターの活動から言えること

<発達障害者支援センターとは>
  平成17年4月に発達障害者支援法が施行されました。これにより、自閉症等広汎性発達障害の他に注意欠陥多動性障害や学習障害など、これまで社会施策上「障害」と認められず、谷間の障害とされていた発達障害にかかわる支援策を、具体的に推進していくことが国や地方自治体の責務として明示されました。
  さらには、発達障害がある人の社会参加に協力するべく国民全体の協力を求めるものとされたことは、従来の障害者支援のあり方を大きく変えるものとして重要な意味があったことと考えています。

  発達障害者支援センターは、本法において「発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関」として位置づけられ、発達障害がある人やその家族、支援機関をはじめ発達障害にかかわるすべての関係者からの問い合わせや相談に対応すること、あわせて発達障害の理解啓発や支援者育成にかかわる業務を行っています。
 東京都発達障害者支援センターは、平成15年1月に社会福祉法人嬉泉が東京都より委託を受け、事業を開始しました。社会福祉法人嬉泉は、もともと世田谷区を起点に自閉症をはじめとする発達障害の人やその家族への支援に長年かかわってきており、新たに発達障害者支援センター事業を担当することになりました。

<相談事例から言えること>
 本センターでの発達障害にかかわる相談はすべてのライフステージにわたり、本人や家族、支援機関をはじめとする関係者からの多様な内容となっています。中でも20代、30代の方に関する相談が多く、年々その割合は高くなってきています。その背景として、この数年、都内においては区市町村ごとに発達障害者支援体制が整備されつつあるところですが、現時点においてその内容は幼児・学童期支援が中心であり、18歳以上の人への支援についてはほとんどの地域において未着手という状態です。 このようなことから、当センターの相談事例においては、成人期の人の占める割合が高くなっているとも考えています。
 また、発達障害に関してテレビや新聞などマスコミで取り上げられる機会が以前に比べて格段に増えたこともあり、本人だけでなく、家族や職場などの関係者からの問い合わせや相談申し込みが年ごとに増加してきています。

  青年期、成人期の相談の主訴として、本人からは「発達障害の診断を受けたい」、「発達障害の診断を受けた。就労を含めた今後の生活の相談にのってほしい」という内容がほとんどです。そして相談事例全体の9割以上の人は知的障害のない人であり、教育歴としては通常の学校を卒業、又は在籍しておられる方がほとんどです。またさらに高校、専門学校や大学、大学院を修了あるいは中退している人も少なくありません。
 一方、親御さんなどご家族からは、「我が子が就労できない。就労継続できない」「家庭以外に本人が安心して行く場がない」「家庭内でのひきこもり生活が長期化し、他の家族との関係も膠着状態にあり、どう対応してよいかわからない」「家族としての相談にのってくれる人や場もない」などという相談が多いのです。また、本人と親御さんそれぞれから、親亡き後のことの心配を訴える相談も多くなっています。
 そして、支援関係者あるいは職場などの関係者からの問い合わせや相談も多くあります。最近では、一般の学校や大学、職場などから、「本人の認識はないようだが、日頃の言動から発達障害があるのではないかと思う。どう対応したらよいか」などという内容の相談が大変多くなっています。

 青年期、成人期の人の場合、これまでの生活歴においてさまざまに苦労はあったが、本人も周囲も「障害がある」という認識はなく、たとえば「就労、あるいは就労継続困難が明らかになったことをきっかけに発達障害を知った」、「うつ病を疑って精神科受診したところ、発達障害があると言われた」など、大人になってから発達障害があることに向き合うようになったという人が多いのです。

(2)へ続く

Copyright The ZENSEIKYO FOUNDATION for youth and child welfare All Rights Reserved.
当サイトに掲載されている画像・内容についての無断転載はご遠慮ください。